MESSAGE FROM DIRECTORS (OUTSIDE)

社外取締役からのメッセージ

第12次中期経営計画の進捗により見えてきた課題を整理し、
次なるプラン、ロードマップを描くべき時

社外取締役 山本 良一

ノリタケグループは第12次中期経営計画で、今後の成長が期待される環境・エレクトロニクス・ウェルビーイングの3分野を成長領域と見据え、事業領域の転換を進めています。その2年目である2023年度は、開発も営業も前向きな姿勢が見受けられ、様々な取り組みが着実に進んでいることは理解していますが、取り扱っている製品や領域が多いだけに全体的な進捗度が把握しにくい点、スピード感が足りない点が大きな課題だと思います。
ノリタケグループは目指す事業ポートフォリオをより明確に描き、その事業ポートフォリオへの変革に向け、生産や人的資本などを含めたマスタープランを形にするべき段階にきているのではないでしょうか。例えば、生産に関しては、生産拠点のキャパシティとアロケーション(資源の配分・割り当て)を計画し、目標に向けた生産設備の増強や拠点の再編などを立案し、必要な投資を行うべきです。人材に関しても同様に、目標達成を見据えた配置や増強、あるいは育成の計画、つまり人的資本経営を実践していくことが重要です。まずは、今年度策定した人財戦略に基づく取り組みを確実に進め、より一層の人的資本の価値向上を図っていただきたいと思います。DX投資においても、現場では様々な取り組みが進んでいるようですが、業務の効率化だけでは投資に見合った成果の刈り取りが難しいように感じます。先を見据えた会社全体での計画と大規模な投資の意思決定が必要だと思います。
計画は環境の変化に応じて、都度、見直しながら戦略の遂行を目指すものですが、計画無きところには進捗の評価、監督もかないません。ノリタケには、全体感とスピード感を持って戦略を遂行していく意識を今一度しっかりと持っていただきたいと思います。
そのような中、資本コストを意識した経営を目指し、「事業別ROIC」を導入し、事業部や製品群ごとの投資とリターンの評価・分析を始めたことは評価できます。今後は設定した目標を達成できるかどうかをしっかり検証していかなければなりません。
ガバナンスに関しては、2023年6月をもって監査等委員会設置会社に移行しましたが、これにより取締役会の実効性は順調に向上していると思います。具体的には監査等委員会の機能が発揮され、取締役会にかける議題の絞り込みが行われ、十分な議論、審議ができるように改善されました。一方で指名・報酬委員会には物足りなさが感じられる部分もあります。今後も取締役会、各委員会の活動とともに機能強化、運営のレベルアップを図り、グループの企業価値向上に資するガバナンス体制を築いていくことを期待しています。
取り組みを進めていく中で見えてきた課題は多々ありますが、これは2030年の目指す姿を実現していくため、組織と事業で新たな取り組みが非常に活発に行われている証しでもあると見ています。
2024年度は第12次計画の最終年度であり、次期中期計画に向けて大きなところでのプランやロードマップを描くため、取締役会でも議論を活発にしています。ノリタケのPBRが1倍超の水準に達するためには、事業ポートフォリオの変革を確実にやり切ることが肝要で、執行のレベルアップと設備や人材等への適切な投資、それを評価・監督していくことが必要です。その取り組みこそがノリタケグループの企業価値向上に繋がると考えています。
ノリタケにはこれまで培ってきた技術や素材などの多くの資産があります。それらコアコンピタンスを上手に活用し、新事業、新製品を開発する能力があるからこそ、こうして創立120周年を迎えることができたのではないでしょうか。現在、注力分野として設定している、環境・エレクトロニクス・ウェルビーイングという3分野は時代感を得た方向性だと思います。その3分野に対して、今持っている資産をどれだけ駆使して新しい事業・製品に結び付けていけるか、それを確実かつスピード感を持って進めることができたのなら、ノリタケグループは今まで以上の飛躍を遂げられると、大きな期待を寄せています。

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