RESEARCH & DEVELOPMENT
ノリタケのテクノロジー
研究開発事例
3Dプリンターでセラミック部材を作製する技術
開発背景
セラミック部材は様々な産業機器に利用されており、近年用途に応じた複雑な形状へのニーズが高まっています。
ノリタケでは、セラミック原料粉を加工し特定の性質を持つ粉体とする技術(粉体加工技術)や、粉体を成型し高温で焼いて部材化する技術を創立以来培ってきました。これらの自社技術に、金属や樹脂部材の作製で活用されている3Dプリンターという新しい方法を掛け合わせることにより、型を使った従来の製法では不可能だった、複雑な立体形状のセラミック部材を作製する技術を開発しました(図1)。
従来技術との比較
これまで、セラミック部材は主に金型や石膏型などの型を使う方法で製造されてきました。型を用いる場合、型から成型品を取り出す方法などに制限があり、3次元的な網目構造や、中が空洞になっている構造などの複雑なものは作製できませんでした。しかし、3Dプリンター用のセラミック粉体を用いた方法では、図2のように一層ずつ積み重ねて造形するため、型の制限に縛られることなく、つなぎ目のない複雑形状の部材が作製できます。併せて、金型・石膏型の設計や作製に要していた時間を削減できるため短納期化が可能なほか、型が不要となることで保管場所や廃棄もなくなるため環境にも優しい製法です。
また、3Dプリンターで作製した複雑な立体形状の造形体は、その後1000℃を超える高温で焼成することで十分な強度を持つセラミック部材(焼成体)となります。一般的に造形体は焼成工程で収縮し、特に複雑な立体形状の造形体においては収縮する際に少なからず変形してしまいます。しかしながら、ノリタケが開発した3Dプリンター用のセラミック粉には、焼成工程で収縮が小さくなるような工夫をしてあり、複雑な立体形状の造形体を変形なく焼成することが可能です。
技術の特長
・型を使用せずセラミック造形が可能
・複雑形状を寸法通り焼成可能
想定用途例
・模型(試作品、モックアップ)
・セラミックフィルター
開発品の仕様
受賞歴
・21年超モノづくり部品大賞 環境・資源・エネルギー関連部品賞(日刊工業新聞)
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00615407(2021年11月26日第2部)
・令和2年度 技術振興賞(一般社団法人 日本ファインセラミックス協会)
https://www.jfca-net.or.jp/contents/view/3007/
特許
特許第6864457号、特許第6546135号、特許第6433447号、特許第5659192号、特許第6857819号、特許第6967884号
対外発表
・investment Casting Institute 65th TECHNICAL CONFERENCE & EXPO 2018, USA
「Additive Manufacturing of Ceramic Core」
・The International Seminar on Investment Casting 2017 ISIC-Tokyo 2017
「3Dプリンタを用いたセラミックコア作製技術の開発」
・日本学術振興会先進セラミックス材料第124委員会、東京工業大学田町キャンパス
「積層造形法によるセラミックスコアの作製技術開発」
・平成28年度日本セラミックス協会東海支部学術研究発表会、名城大学、名古屋
「3Dプリンターによるセラミックスコアの作製技術開発」
・日本セラミックス協会 協会誌特集号 10月
「積層造形法によるセラミックスコアの作製技術開発」
・日本鋳造工学会第167回全国講演大会、室蘭工業大学
「3Dプリンターによるセラミックスコアの作製技術開発」