中期経営計画
当社は、2022年3月24日開催の取締役会において、2022年度から2024年度までの3ヵ年を対象とするノリタケグループの第12次中期経営計画(以下、第12次計画)について、決議いたしましたのでお知らせします。
1.前計画(第11次中期経営計画)の振り返り
2019年度から2021年度までの第11次中期経営計画(以下、第11次計画)では、「成長性と収益性の向上」、「投資(M&A、設備、開発)の加速」、「ESG(環境・社会・企業統治)への取り組み」を経営課題として、以下の4つの基本戦略を掲げて事業を推進しました。また、2019年度終盤からの新型コロナウィルス感染症の拡大による大きな事業環境の変化に対応するため、基本戦略に最重要事項として「選択と集中の加速」を加え、開発・製造から販売までを通して分析し、採算性の良い事業や商品群に経営資源を集中して、成長性と収益性を向上させるための事業体制の整備を進めてまいりました。
基本戦略 | 取組内容 |
①競争力のある新商品・新技術開発の促進 | 自動車の電動化や高速移動体通信用の電子部品の需要拡大に対応した新商品の開発と新用途の開拓に取り組み、市場へ投入しました。 |
②海外生産拠点の増強と海外市場開拓の推進 | 中国蘇州工場:大型砥石を増産するための新ラインを稼働しました。 タイ工場:砥石の製造ラインを増強しました。 |
③国内販売体制、製造体制の再整備 | グループ会社を含めた営業・物流拠点の統合・再編を行いました。 積層セラミックコンデンサ等の電子部品材料の生産能力を増強しました。 |
④ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一体化 | 全社横断組織を設け、コロナ禍においてもWeb会議等を活用し、活動を推進しました。 |
以上の取組みの結果、初年度、第2年度は、コロナ禍の影響を受けて苦戦しましたが、最終年度は、経営目標の営業利益率を達成する見込みです。
2.2030年度を見据えた経営の方向性
(1)長期ビジョン(ありたい姿)
「マテリアル×プロセスの独自技術で変化する社会の欠かせない推進役へ」
ノリタケグループは、創業者が「我カ社ノ精神」に記した"事業を通じて社会に貢献する"という姿勢を経営理念の核としてきました。
今後の当社グループを取り巻く経営環境は、地政学リスクの高まり、カーボンニュートラル社会の進展、デジタル化の加速、生活スタイルの多様化等、不確実で先が予測しにくい時代が続くものと認識しています。こうした経営環境のなか、第12次計画の策定にあたっては、2030年度における当社グループの長期ビジョン(ありたい姿)と、その実現に向けた戦略の方向性を描き、その上で、第12次計画の3年間の位置付けを明確にして、取り組むべき具体的な戦略を定めました。
当社グループは、経営基盤を強化するとともに成長領域に注力し、「マテリアル×プロセスの独自技術で変化する社会の欠かせない推進役」として社会に貢献してまいります。
(2)全社戦略(基本方針)
「選択と集中(環境/エレクトロニクス/ウェルビーイングの領域へ)」
当社グループの長期ビジョン(ありたい姿)を実現するために、今後の成長が期待される環境・エレクトロニクス・ウェルビーイングの3分野を成長領域と定めて「選択と集中」を進め、現状の基盤領域(内燃機関、窯業等)から成長領域(環境・エレクトロニクス・ウェルビーイング)へ事業領域の転換を図ります。
また、成長領域への取組みを通じて、当社グループは、「地球を元気に」、「社会を便利に」、「人と社会を幸福に」する企業を目指します。
3.第12次中期経営計画
(1)中期経営計画の位置付け
「収益基盤の強化と成長領域への仕込み」
2030年度に向けて第12次計画は、「収益基盤の強化と成長領域への仕込み」の期間と位置付けます。「収益基盤の強化」として、不採算商品・事業の再編、収益改善・合理化を進め、「成長領域への仕込み」として、増産・拡販への対応、経営基盤の強化を進めます。
<経営基盤の強化>
「新事業の創出」
- 新事業のテーマ探索を当社グループ全社レベルで行うと共に、事業化プロセスを構築し、新事業の創出に結び付けます。
「組織風土の改革」
- 2030年度の長期ビジョン(ありたい姿)に必要な組織風土を実現するため、人事制度の整備や働き方改革を推進し、従業員のチャレンジ精神の醸成とエンゲージメントの向上を図ります。
「サステナビリティ経営体制の整備」
- 持続可能な社会の実現に向けた社会課題の解決のため、サステナビリティ経営体制を整備し、カーボンニュートラルの実現、気候変動等のリスクへの対応等のサステナビリティに向けた取組みを進めます。
「DXの推進」
- 生産性や技術力の向上、顧客対応力の高度化を実現するため、DX推進体制を整備し、デジタル技術を活用したプロセス改革を推進します。
(2)経営数値目標
- 第12次計画よりキャッシュフロー創出力を管理する指標として、FCF(フリーキャッシュフロー)を採用します。
- 2024年度に売上高1,470億円、連結営業利益130億円、連結営業利益率9%、自己資本利益率9%、FCF200億円(3年間累計)を目指します。また、創出したFCFは、主に成長投資に充当します。
2021年度業績予想 | 2024年度目標 | |
売上高 | 1,280億円 | 1,470億円 |
営業利益 | 90億円 | 130億円 |
営業利益率 | 7% | 9% |
自己資本利益率(ROE) | 8% | 9% |
フリーキャッシュフロー(FCF) | - | 200億円(3年間累計) |
(3)事業戦略
工業機材事業
「既存事業の収益改善と成長分野進出に向けた基盤整備」
- 事業をオーダーメイド品と汎用品に再編することで、効率的な事業体制を構築します。
- オーダーメイド品事業では、徹底した収支改善、増産体制の確立、販売拠点の整備等により、収益基盤を強化します。
また、半導体、自動車の電動化等の成長領域における新技術・新商品の開発を進めます。 - 汎用品事業では、経営基盤の効率化と製造・販売体制の再編により、収益力を強化します。
また、成長領域への進出に向けた製造・開発・営業体制を構築し、経営資源の集中を図ります。
セラミック・マテリアル事業
「事業基盤の強化」
- 電子ペーストは、エレクトロニクス分野において、製品ラインナップの拡張と生産能力の増強によるシェアの拡大、新商品の開発を進めます。
- 電子部品材料は、積層セラミックコンデンサ用材料の生産能力増強による事業の拡大、成長領域における新商品の開発を進めます。
- 事業の選択と集中、新商品・新事業の創出により、事業ポートフォリオの再構築を図ります。
エンジニアリング事業
「事業規模の拡大と新分野の開拓」
- エネルギー、エレクトロニクス分野では、拡販とアフターサービス体制の強化により、シェアの拡大を図ります。自動車分野では、電動化に伴う新用途・新商品の開発を進めます。
- 新しい分野(医療・医薬、半導体、新素材)への参入と市場の開拓、環境分野での新用途・新商品の開発を強化します。
食器事業
「黒字化の達成」
- 国内は、オンライン販売の強化とホテル・レストラン向けの拡販を進めると共に、流通販路・物流の再整備による経費削減を図ります。
- 海外は、成長市場であるインド、中国、東南アジア等の主要国での拡販に取り組みます。
<事業別売上高・営業利益>
2021年度業績予想 | 2024年度目標 | |||
売上高 | 営業利益 | 売上高 | 営業利益 | |
工業機材 | 565億円 | 24億円 | 605億円 | 30億円 |
セラミック・マテリアル | 420億円 | 57億円 | 490億円 | 73億円 |
エンジニアリング | 240億円 | 21億円 | 300億円 | 27億円 |
食器 | 55億円 | △12億円 | 75億円 | 0億円 |
合計 | 1,280億円 | 90億円 | 1,470億円 | 130億円 |