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「カラムレス精製装置」を開発
~バイオ医薬品の製造リードタイムの一部を5日から1日に短縮~

株式会社ノリタケカンパニーリミテド (本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:東山 明、以下 ノリタケ) は、バイオ医薬品の中の、抗体医薬品製造における製造リードタイムの短縮とコスト削減を実現する「カラムレス精製装置」を開発しました※1。本製品を、6月26日から開催される「インターフェックスWeek 東京 バイオ医薬EXPO」に出展します。

■開発の背景

がんや自己免疫疾患などの治療薬として注目されているバイオ医薬品は、高い効果が期待されるうえ、副作用が少ないため、市場の拡大が見込まれています※2。中でも抗体医薬品の製造工程では、細胞を培養する工程で不純物が多く発生するため、細胞分離や精製を行い、不純物を除去し純度を高める必要があります。精製工程では、主に円筒状の容器 (カラム※3) に抗体回収用ビーズ (以下 ビーズ) を充填して培養液などを流すことで抗体を精製する手法 (カラムクロマトグラフィー※4) が採用されていますが、これには3つの課題があります。

作業時間が長い
カラムの中にビーズを含むスラリー※5を送液し、均一に充填する必要があり、作業時間がかかる。

② 医薬品の製造コストが高い
ビーズは高価な消耗品であり、かつ1バッチあたりの使用量が多いため、製造コストが高い。

③ 前処理 (細胞分離、清澄ろ過) が必要
カラムに充填したビーズに大きな細胞や不純物が引っかかり詰まる可能性があるため、カラムクロマトグラフィーの前に、細胞や不純物を一部除去するための前処理を行う必要がある。

■「カラムレス精製装置」の特徴

カラムレス精製装置は、カラムクロマトグラフィーに代わり初期精製工程を効率化できる装置です。ノリタケの混合器 (スタティックミキサー) と分離器 (サイクロンセパレーター) を用いて構成した装置に、ビーズを含むスラリーや培養液などを送液しながら混合・分離することで抗体を精製できます。抗体精製の後にビーズを再利用する機能を有し、連続で処理するため、少量のビーズを循環させて運転することが可能です。また、カラムを使用しないことにより、ビーズの充填作業や前処理も不要になります。

カラムレス精製装置
▲カラムレス精製装置

<メリット>

① 省人化と製造リードタイムを5日から1日に削減
カラムを使用しないため、ビーズの充填作業と前処理が不要。

② 医薬品の製造コストを削減
少量のビーズを循環させるため、1バッチあたりのビーズ使用量を約80%削減。
(1バッチを培養槽の容量が500Lで、抗体発現量を3g/Lとする場合。)

③ 前処理 (細胞分離、清澄ろ過) が不要
装置の専有面積が約70%削減され、工場のスペースの有効活用ができる。

■従来方式とカラムレス精製装置の工程の違い

従来方式とカラムレス精製装置の工程
■用語の説明・出典

※1 本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の課題番号「JP18ae0101056」 (事業名「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」、研究開発課題名「バイオ医薬品の高度製造技術の開発/バイオ医薬品連続生産等の基盤技術開発」) の支援を受け開始されたもの。

※2 2019年から2026年までの予測では、バイオ医薬品市場の年平均売上成長率は9.6%の見込み。
(出典:経済産業省 資料「バイオCMO/CDMOの強化について」)

※3 物質の分離などに用いる円筒状の容器または装置。

※4 化合物の精製法の一つで、筒状の容器にシリカゲル、多孔性ゲル、合成樹脂などのビーズを充填し、これに混合物を流すことで、混合物から目的の化合物を精製する手法。

※5 固体粒子と液体との混合物。


製品に関するお問い合わせ

株式会社ノリタケカンパニーリミテド エンジニアリング事業部 流体テクノ部
TEL:052-561-9872 FAX:052-561-7149 E-mail:mixing@n.noritake.co.jp



本件に関するお問い合わせ先

株式会社ノリタケカンパニーリミテド 総務部 広報課
TEL:052-561-7110 FAX: 052-561-9721 E-mail:koho@n.noritake.co.jp

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