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2025年1月24日
ノリタケ株式会社
300~350℃でアルミニウムと接合可能な
リン非含有の新ガラス材の試作に成功
~120年で培ったデータを利用したMIを活用~
ノリタケ株式会社 (本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:東山 明、以下 ノリタケ) は、2023年より、新材料の開発を目的にMI (マテリアルズ・インフォマティクス※1) を活用しています。その成果として、アルミニウムと低温で接合が可能で、リン非含有の新ガラス材の試作に成功しました。
■市場環境
自動車のEV化や電装化が進む中、車載向けの半導体では、高耐圧・大電流に対応できるパワー半導体の採用の増加が見込まれています。一般的に、半導体はリンの混入が性能に影響を及ぼします。
また、車載の軽量化も求められているため、周辺部品では重量が軽いアルミニウムの利用が拡大する※2見込みです。
■アルミニウム接合の課題
アルミニウムを部品の素材として使用する場合、接合材として有機材料 (樹脂) が使われますが、次世代パワー半導体の周辺部材などは使用環境が高温になり、一般的な樹脂材料 (耐熱温度※3約200℃) では劣化しやすいため、熱に強い無機材料 (ガラスなど) での接合が期待されています。
車載のような温度が上下する使用環境では接合材の熱膨張係数※4をアルミニウムと適合させることで剥がれや亀裂を防ぐことができます。アルミニウムは熱膨張係数が大きいため、接合材としてのガラス材の熱膨張係数も大きくする必要がありますが、同時に低温での接合 (400℃以下) と高耐水性を両立することが難しいという課題があります。
■ノリタケの知見とMIを活用し、短期間での試作に成功
材料開発は、素材を形成する膨大な元素の組み合わせの中から目的に合う特性を持った組成を最適化する作業のため、開発が難しいという課題があります。また、ガラス材は無機材料の中でも元素の種類が多いため、最適な組成を見つける難しさがあります。そこで、ノリタケが持つガラス材料に関するデータを厳選し、MIを活用して短期間で新ガラス材の試作に成功しました。
■新ガラス材の特長
① 300~350℃での接合が可能
・次世代パワー半導体の周辺などの最高約300℃になる使用環境に耐えられる。
・アルミニウムへの使用が可能 (約400℃以上で熱処理した後に冷却すると劣化するため)。
② 低温接合と高耐水性を両立
・組成を最適化することで、通常の大気環境でも使用が可能。
③ リン非含有
・リン非含有のため、製造過程や使用中に半導体の性能を妨げない。
■ノリタケ試作品と他社品との性能比較(社内試験の結果)
※1 AIをはじめとする情報科学の技術を活用し、材料開発を迅速化する手法。
※2 出典元:アルミニウム VISION 2050 (一般社団法人日本アルミニウム協会)
※3 室温から温度を上げ、劣化が始まる温度。
※4 温度が1℃上昇したときに、物質がどれだけ膨張するかを示す値。
※5 標準硬化温度域。
※6 温水(90℃)で24時間浸漬した際の、浸漬前後における重量の変化率。変化率が小さいほど、耐水性が高い。
試作品に関するお問い合わせ
ノリタケ株式会社 研究開発センター
TEL:0561-34-5111 FAX:0561-34-4997 E-mail:kaihatsu_b9700@noritake.com
本件に関するお問い合わせ先
ノリタケ株式会社 総務部 広報課
TEL:052-561-7110 FAX: 052-561-9721 E-mail:koho@noritake.com