開催日:2018年7月31日(火) ~ 2018年8月5日(日)
豊田小原地区で、制作している和紙です。
今回のテーマは、「モード(様式)と色彩和紙」で展示いたします。
どうかごゆっくりお楽しみくださいませ。
~豊田小原地区で和紙を漉く人として~
1500年ほど前、奈良時代に紙の製法と材料に用いる植物が中国から伝わり、その後急速に和紙漉きが国内に広まっていきました。
同時に漉く技法、用いられる植物素材も改良されてゆき、平安時代後期には流し漉きが完成されています。
現在、日本国内の手すき和紙の産地での漉き方は、この流し漉きを採用しています。
私共の地元、豊田市小原地区には、およそ600年ほど前に美濃から和紙漉きが伝えられました。
小原和紙制作過程は、他の産地とは大きく異なり、「半流し漉き」といわれ、「溜め漉き」から「流し漉き」へ移行する中間点にある漉き方です。
その特徴は、一枚ずつ異なる紙を漉く事に長けており、様々な素材を一度に用いたり、サイズや形が自由になる反面、薄く強い紙を大量に漉く事は難しいです。
江戸時代には産業としての和紙漉きは頂点に達し、江戸の町では和紙のリサイクルの仕組みが整っていました。
19世紀中頃の明治維新には洋紙生産が始まり、和紙生産は急速に減少していきました。
この三河森下和紙という名で知られた小原地区も例外ではなく、昭和初期になると紙漉きをする家は目に見えて減ってゆきました。
そのようなときに碧南市出身のアーティスト、藤井達吉が小原に入り、地元の若者を指導、多くの芸術家を育てました。
やがてこの地に新しい和紙の作品が生まれました。それが、和紙という素材を用い、作品へと昇華させていった私たちの親の世代です。
私たちは、それとはまた異なった方向へも制作の場を拡げ、作品制作と同時に、自分たちが生きているこの時代の日常に用いられる和紙の在り方を今も模索しております。
素材としての和紙は、多様な要請に十分応えてくれる本物の素材です。
小原地区は、豊田市の中心部から北へ30kmほどの山間にあり、風化花崗岩を通して得られる豊かな清水は、和紙を漉く事に最適の自然水です。
野生楮もこのあたりでは、容易に手に入れることができ、何種類かの異なる和紙の素材を用いて私共独自の和紙を制作しております。
加納 登茂美
日展入選 7回
日本現代工芸美術展 入選8回、 工芸賞受賞
加納 恒
日本伝統工芸展、東海展、第7部会展、入選
ユニット「かのうともみひさし」
2000年、ハノーバー万博でのワークショップより活動開始
加納 ともみ、ひさし2人の名前からユニット名「かのうともみひさし」とする